物質の還元

【還元】

 酸化銀Ag2Oを加熱すると,分解して銀Agと酸素O2になる。この反応は,酸化物から酸素原子が取れる(外れる)化学変化であり,これを〔 還元 〕という。

 
 

一方,CuOCO2H2Oなどの酸化物は,Cu原子,C原子,H原子とO原子の結合がAg原子とO原子の結合よりも強いため,加熱だけでは酸化物から酸素原子を取ることができない。では,どうすればCuOCO2H2Oなどの酸化物からO原子を取れるか考えてみよう。

ヒント:酸化物にどんなものを反応させればよいか

CuCHよりもO原子と結びつきやすいものと反応させる。)

 

酸素原子と結びつきやすい物質

 〔 炭素C 〕:酸素原子Oと結びついて〔 CO2 〕になりやすい。

〔 水素H2 〕:酸素原子Oと結びついて〔 H2O 〕になりやすい。

〔 マグネシウムMg 〕:酸素原子Oと結びついて〔 MgO 〕になりやすい。

 

酸化銅CuOの還元

 CuOCuよりもOと結びつきやすい〔 C 〕や〔 H2 〕を反応させると〔 CO2 〕や〔 H2O 〕とともに〔 Cu 〕ができる。

 

二酸化炭素と水の還元

 CO2CよりもOと結びつきやすい〔 Mg 〕を反応させると〔 MgO 〕とともに〔 C 〕ができる。(左下図)

 H2OHよりもOと結びつきやすい〔 Mg 〕を反応させると〔 MgO 〕とともに〔 H2 〕ができる。(右下図)

 
 

【酸化還元反応】

これまでに出てきた酸化銅の還元についてもう一度みてみよう。この中で酸化反応も起こっている。〔 Cu 〕に着目すると還元であるが,〔 C 〕に着目すると酸化である。このように化学変化の中では,酸化と還元は常に同時に起こっている。

 

例題 次の反応で酸化されているものと,還元されているものを化学式で答えよ。

(1) CuO + H2 → Cu + H2O  (2) CO2 + 2Mg → C + 2MgO

(3) H2O + Mg → MgO + H2

          

(1)  酸化されている物質 H2 還元されている物質 CuO   (2)  酸化されている物質 Mg 還元されている物質 CO2

 (3)  酸化されている物質 Mg 還元されている物質 H2O